よく企業さんに「ウチの動画作ってください」と言われます。
で、どんな動画作りましょうか?と聞くと「お任せします」という一言。
こうなると、作り手は自分の作りたい放題となりますが
果たしてこれでクライアント様の求める動画ができるものでしょうか。
答えは95%無理です。
まずは5%のよくできた場合ですが、これは作り手のセンスにたまたま合致したか、クライアントさんの動画制作の知識のなさから満足した動画です。
ほとんどのクライアントさんが
「そうじゃななかった」
「思ったのとは違った」となるのはわかりきっています。
なぜ、そうなるのか?
大きな原因のひとつとして、制作におけるコミュニケーションが欠乏しているからです。
とりあえず、作れば評価や反応が上がると思ってると大間違い。
下手すればブランディングの低下や既存の客離れだって起きることもしばしば。
炎上はその代表例ですね。
そして、動画制作一番あるあるなのが
動画作って終わりにしているケース。
冒頭に戻りますが、親身な制作者であれば次に「何に使いますか?」とすぐ聞きます。
その次に「どんな動画にしましょうか?」と聞きます。
ヒアリングすることによって制作のハードルをいくつも超え、クライアント様は何を求めているのかコンテンツを総合的に検討しています。
制作者は時間をかけて知恵を絞り、スケジュールや人材の確保をし、身を削って制作に取り組みます。
そんな自分たちの分身のような制作物、作ることによってどうなっていくのか、はっきりしているものほどコンテンツパワーは増します。
そう考えると、みんな意味のない、ショボい動画なんて作りたいくないんです。
「お任せします」ってとても敬意を感じる、苦しい言葉だなと。
制作者の質問に答えられない、ということは必要な情報が欠けていく、ということです。
それだけ思いつきで制作を進めようとしている、ということですので、その場で軌道修正するなり答えを見出していくことが肝心です。
ハートアライブとしては、動画制作の長年の経験から身を削って作った動画を「点」にはしたくないと考えています。
コンテンツとコンテンツを結ぶ「線」はどこにあるのか?その「線」は最善か?考え、ご提案をしています。
「点」をいくつも作れば、いつかは「線」になりますが、素人でも「点」を作れるこのご時世に私たち映像クリエイターは効率化を目指すこともクライアント様の満足に繋がる使命だと考えます。
集客やブランディング、イントロダクションなど、動画を作る目的は様々ですが、クライアント様の満足は動画を作ることではありません。
その動画を作ることによって、いかにクライアント様の求める状況に近づけたか、が本当の満足だと思います。
企業や製品の数字を使って見栄え良くかっこよく紹介された動画が、良い動画ではありません。
その動画がどれだけ結果に貢献したか、が大事なのです。
「映像は嘘をつきません」とクライアント様に話したことがあります。
動画は良いところだけを映しはせず、時にはマイナス面も見え隠れすることがあります。
なので、良いところをうまく引き出さないと、すぐに裏目も出てしまうのです。
当初、かっこいい求人動画を作ってください、とご依頼された企業様でしたが、綿密に打ち合わせを進めたところ、社内に長期勤務者が多くいることに気づき、どうしてこの会社に長く勤め上げることができたのか、イメージを大転換してインタビュー動画を制作しました。
結果この動画がより多くのリクルーターに響き、その会社は新しい会社づくりへの一歩を進めることができました。
先日、私のメンターの一人の方に
あなたは「引き出す映像プロデューサー」ですね、と言われました。
他の映像制作者も似たような感じかもしれませんが、私は映像を一つの【表現の手段】と考えています。ですので、動画にする必要なければ、きっぱり「必要ないかもですよ」と言います。それはクライアント様を守るためであり、さらには私たちの身を守るためでもあるのです。
聞くって本当は怖いことなんです。
これでお仕事無くなることもありますし、進めば完成映像の期待は否が応でも高まりますから。
でも、聞かなきゃコンテンツの本質にはたどり着けません。
引き出す力が時にクライアント様に混乱を招くこともあるかもしれません。
ですが、それは引き出された結果の「ブレ」であり、「気づき」でもあります。
ハートアライブの動画制作を通じて意識を軌道修正される方も多いですし、気づきを与えられたという声も実際によくいただきます。
逆に指標ができているなら、私たちはそこに寄り添うだけです。
ほとんどそういうお客様っていないですけど(笑)
みんな試行錯誤して日進月歩していらっしゃいます。
たかが映像制作、されど映像制作。
皆さんはどんな業者さんとお付き合いを重ねていきますか?
ハートアライブ
代表:北原康裕